眼科医の処方なく、ネットなどで購入できる現状について、どう思われますか。
「忙しい」し、「不調を感じるわけでない」し、「眼科隣接販売店で購入するとネットなどより高い」ので、眼科医の処方を受けずにネットなどで購入する気持ちはわかります。しかし、自覚症状がないから異常がないわけではありません。定期検査で「疲れる」「肩が凝る」の原因がコンタクトレンズの度数が合っていなかったためとわかり、適切な処方で症状が改善するというようなことが少なくありません。また、失明につながる病気(緑内障など)が見つかることも多いです。コンタクトレンズを購入する前には眼科で検査を受けましょう。そしてコンタクトレンズ指示書(処方せん)を受け取りましょう。指示書通りに購入するのであれば、購入する店はどこでも(ネットでも)構わないと 私は考えています。ただし、販売店によっては「度数だけ同じで異なった商品を勧める」「指示書以上の箱数を販売する」店もありますので、販売店を選ぶ際には注意が必要です。
特に近年、カラーコンタクトレンズに限らず、通常の透明なコンタクトレンズにおいても眼科医の処方に基づかない、つまり処方せんなし、定期検査なしでのコンタクトレンズの販売・購入が急増しています。厚生労働省は販売店に行政通知を出して眼科受診を促していますが、罰則規程がないこともあり、遵守されているとは言えない状況です。そして、コンタクトレンズによるトラブルの多発状態に改善は見られていません。
コンタクトレンズを安全・快適に使用するには眼科医の診療に基づく処方が不可欠であり、定期検査も必要です。東日本大震災直後、コンタクトレンズ量販店、インターネット販売(ネット販売)・通信販売(通販)は長期間機能しませんでしたが、眼科診療所ならびにその併設店は早期に再開しセーフティーネットの役割を果たしました1)。
一方、ユーザーにとって日常品・生活必需品であるCLの価格は、購入(流通)経路つまり量販店やネット販売、通販で購入するか、眼科隣接販売店で購入するかによって大きく異なっているのが現状です。利便性と廉価が国民の支持を受けている量販店やネット販売、通販を、眼障害から目を守るという理由で不適正販売とする眼科医の主張は、国民目線では受け入れがたい状況である2)ことも事実です。ネット販売や通販という販売方法そのものに問題があるわけではありません。現在は購入者の自己責任でコンタクトレンズを購入できることに加えて販売店は販売にあたり眼科医の処方を守ることが努力目標のようになっていることが重大な問題なのです。
コンタクトレンズを安全・快適に使用するためには①眼科での検査と②販売店が眼科医の処方に基づく販売を行うことは必須ですが、これらを啓発するだけではユーザーの理解(国民の支持)は得られません。これら2つと③量販店やネット販売・通販と同等の価格と④自宅での受け取り、クレジットカードやコンビニでの支払いなどの利便性の充実が必要なのです。これまでこれらすべてを満たすシステムはありませんでしたので、これらすべてを満たすために私たちが構築したのが「JAPANWAY CONTACTLENS」です3)4)。眼科で検査をして、眼科医が本システムに処方データを登録すれば、量販店やネット販売と同等の価格で、眼科・自宅のいずれか都合の良いところでCLを受け取ることができるのです。
本システムはユーザー、メーカー、眼科医全てにメリットのあるシステムですので、多くの皆様のお役に立てることを願っています。
JAPANWAY CONTACTLENS 代表 佐渡一成
かまいしベイ眼科クリニック院長
日本コンタクトレンズ学会理事
文献
1) 日コレ誌53 東日本大震災特集282-350,2011
2) 日本眼科医会医療対策部:コンタクトレンズによる眼障害アンケート調査の集計結果報告(平成27年度). 日本の眼科87:1002-1011,2016
3) CLに関する眼科医療スタッフの意識と新たな処方・販売・流通システム.日コレ誌58:155-159,2016
4) コンタクトレンズ処方・販売の問題点を根本的に解決することを目指したシンプルなシステムーユーザー、メーカー、眼科医すべてにメリットがあるシステムー IoMT学会誌3:70-76,2020